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認知症とは、脳の働きが少しずつ弱まる病気です。
「もの忘れが多くなる」というイメージが強いですが、ただ年をとったことによる物忘れとは違います。認知症は病気ですので、適切な診断や治療、支援が必要になります。
たとえば、普通の物忘れでは「夕ごはんに何を食べたか思い出せない」ことがありますが、認知症では「ごはんを食べたこと自体を忘れてしまう」ようになります。これが生活全体に支障をきたすのです。
日本では高齢化が進み、認知症の患者さんは増え続けています。厚生労働省の調査によると、2030年には、65歳以上の14%にあたる7人に1人が認知症になると想定されています。
一方で、日本全体の人口は減少傾向にあり、介護人材の不足が進むため、家族が、仕事と介護の両立を迫られるケースが増えると予想されます。このため、国や地域、企業が手を取り合って研究や施策が進められ、医療と介護が連携しながら支援体制を整えています。
認知症にはいくつか種類があります。代表的なものを4つ紹介します。
65歳未満で発症する「若年性認知症」もあります。働き盛りでの発症は、ご本人や家族に大きな影響を与えます。仕事や子育てなど生活全般にかかわるため、早めの診断とサポートが特に大切です。
初期の認知症では「少しおかしいな?」と感じる小さな変化があります。
これらは単なる物忘れと区別がつきにくいですが、生活に支障が出てきたら注意が必要です。
症状が進むと、行動や感情の変化が目立ちます。
日常生活が難しくなり、介護や支援が必要になってきます。
認知症は「脳の神経細胞が傷つけられていく」ことで起こります。生活習慣病(高血圧・糖尿病など)や運動不足、睡眠不足なども関係するといわれています。
認知症が疑われたときには、以下のような診断が行われます。
早く診断を受けることで、ご本人とご家族が将来の生活に備えることができます。また、年相応の物忘れや体の病気などによる一時的な物忘れを見分けることが大切です。 ※当院では、MRIやCTの検査は行っておらず、連携する他病院に紹介しての検査となります。
認知症を完全に治す薬はまだありませんが、進行を遅らせたり、症状をやわらげたりする薬はあります。
生活習慣やリハビリも大切です。
さらに、認知症デイケアやデイサービスを利用すると、本人が安心して過ごせるだけでなく、家族の介護負担も軽減できます。
認知症の介護では、「できることを大切にし、できない部分をさりげなく支える」ことが基本です。本人の尊厳を守るためにも、無理に何かをさせるのではなく、安心できる環境を整えることが大切です。
家族だけで抱え込むと疲れてしまうことがあります。そのため、相談できる人や支援を積極的に利用することが重要です。
介護保険や医療保険が使えます。地域包括支援センターやかかりつけ医、訪問看護やケアマネジャー、などがサポートしてくれます。地域の相談窓口に早めに相談することで、負担を軽くし、安心できる生活が続けられます。
認知症を完全に防ぐ方法はありませんが、研究から「予防に役立つ生活習慣」がわかってきています。
これらは「脳を元気に保つ」だけでなく、心の健康にもつながります。
認知症は、誰にでも起こりうる身近な病です。しかし、早くきづいて治療や支援を受ければ、本人も家族も安心して生活することができます。当院では医師や看護師、作業療法士、ソーシャルワーカーなどが協力し、支えていきます。また、当院では、医療保険で利用できる認知症デイケアを行っており、運動療法・回想法・音楽療法など、お一人お一人に合ったプログラムを作成し活動の中で治療を行っています。そして、ご自宅で生活しながら、ご本人の症状と生活の改善、ご家族の介護負担や経済的負担を軽くすることを目指しています。もし気になることがあれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。
文責 院長 和佐野研二郎