MEDICAL INFO
HYPERSOMNIA
みなさんは「たくさん寝ても眠い」と感じたことはありますか?テスト前の夜更かしや部活で疲れたあとならよくあることかもしれません。でも、夜にしっかり眠ったのに、学校や仕事のときに強い眠気が続いてしまう場合、それは単なる疲れではなく「過眠症」という病気のサインかもしれません。
過眠症とは「日中に強い眠気が出てしまい、起きていたいのに眠ってしまう状態」が続くことをいいます。これは生活や勉強、仕事に大きな影響を与え、本人や周囲の人を困らせてしまうこともあります。
日中の強い眠気は「ただの眠気」とは違い、脳が覚醒(目が覚めている状態)を保てないために起こります。これは本人の努力や気合だけで解決できるものではありません。
「特発性(とくはつせい)」という言葉は「原因がはっきり分からない」という意味です。特発性過眠症は、夜に長く眠っても眠気が改善しないのが特徴です。朝の寝起きが特につらく、学校や仕事に遅れてしまうこともあります。
「ナルコレプシー」は脳の睡眠と覚醒を調整する仕組みに問題がある病気です。突然眠ってしまったり、笑ったり驚いたりしたときに急に力が抜ける「情動脱力発作(カタプレキシー)」を認めたり、寝付こうとしたときや目覚めたときに幻が見えたり、金縛りが起こったりすることがあります。
とても珍しい病気で、思春期の男の子に多いとされています。数週間おきに、1日中眠ってしまうような時期がやってくるのが特徴です。極端に眠る時期には、ひどく不機嫌になったり、過食になったりすることがあります。また、極端に眠る時期以外は、症状なく普段どおり過ごせるのも特徴です。
我が国において最も眠気の原因として多いといわれています。夜更かしや不規則な生活で睡眠不足になると、体は眠りを取り返そうとします。そのため昼間に強い眠気が出ることがあります。睡眠不足を解消するには、週末だけでは足りず、2週間程度は続けて十分睡眠をとることが必要とされています。
眠っている間に呼吸が止まる病気で、睡眠が細切れになり、熟睡できません。その結果、日中に強い眠気が出ます。また、高血圧や糖尿病などの生活習慣病になりやすくなることが分かっています。
体には「体内時計」があり、昼は活動、夜は眠るというリズムを整えています。夜勤や不規則な生活、時差ぼけで体内時計が乱れると、昼夜が逆転して眠気がコントロールできなくなります。
授業や会議の最中に我慢できず寝てしまうことがあります。運転中に眠気が出て居眠りしてしまうと事故の危険もあり、とても注意が必要です。
勉強や仕事をしていても頭がぼんやりし、効率が下がります。
成績の低下や仕事のミスが増えるだけでなく、人間関係にも悪影響が出ることがあります。
ナルコレプシーの場合は、脱力発作でケガをしてしまうこともあります。
過眠症が疑われるときは、まず病院を受診することが大切です。
症状によっては眠気をおさえる薬を使うことがあります。ただし薬だけに頼るのではなく、生活習慣の改善も重要です。
もし眠気の原因が「睡眠時無呼吸症候群」や「うつ病」などの場合は、その治療が必要です。
このような場合は、早めに病院を受診しましょう。早く対応することで、生活の質を守ることにつながります。
過眠症は「ただ眠いだけ」ではなく、医学的に治療が必要な病気です。原因は人によって違い、特発性過眠症やナルコレプシー、睡眠時無呼吸症候群など、さまざまなタイプがあります。早めに受診し、適切な診断と治療を受けることで、学校や仕事、家庭での生活を安心して送ることができます。
眠気で困っている方や、ご家族に同じような症状がある方は、お気軽にご相談ください。
文責 院長 和佐野研二郎